監督
北野武
主要キャスト
ビートたけし、三浦友和、中野英雄、塩見三省
見どころとテーマ
『アウトレイジ』は、「全員悪人」というキャッチコピーの通り、ヤクザ社会の裏切りと抗争を徹底的に描き切ったバイオレンス群像劇です。本作の魅力は、主人公・大友(ビートたけし)だけでなく、周囲の脇役たちが放つ圧倒的な存在感にあります。中野英雄演じる水野は冷静沈着で頭脳派、塩見三省演じる加藤は狡猾で飄々としつつも残忍な一面を見せ、三浦友和演じる山王会の会長は静かな威圧感で全体を支配します。誰が主役か分からないほど全員が濃く、脇役が物語の熱量を底上げする好例です。
あらすじ
巨大組織・山王会の内部で、直参同士の微妙な力関係が揺らぎ始める。加藤(塩見三省)の命令を受けた池元組は、弱小組織の村瀬組を締め上げるため、傘下の大友組に動員をかける。しかし小さな揉め事は次第に拡大し、報復と裏切りが連鎖。組織内外で激しい抗争が繰り広げられる。やがて大友自身も抗争の渦に飲み込まれ、彼の運命は予測不能な方向へと転がっていく。
レビュー
北野武監督は、暴力描写を派手なアクションとしてではなく、冷徹でリアルな社会の一部として描きます。その中で光るのが、主役以外のキャラクターの個性。中野英雄のクールな立ち回りは、組織内の駆け引きにリアリティを与え、塩見三省の台詞まわしや間の取り方は、一瞬で場の空気を支配します。さらに三浦友和は、表情や口調をほとんど変えずに圧力をかける会長像を作り上げ、存在そのものが緊張感を生みます。物語は誰が生き残るか分からない緊迫感に満ち、脇役が「消耗品」ではなく物語のキーマンとして機能しているのが特徴です。視覚的な暴力表現の裏で、登場人物たちの関係性や心理戦が丁寧に織り込まれ、観客は最後まで息を呑むことになります。
配信中のサブスク
U-NEXT、Amazon Prime Video、Netflix
公式予告リンク
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『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)
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