監督:田中光敏
主要キャスト:市川海老蔵、中谷美紀、伊勢谷友介、檀れい
見どころとテーマ
千利休の晩年を軸に、茶道の美と哲学、そして権力との関係を描いた歴史ドラマです。事実をもとにしつつも、山本兼一の直木賞受賞小説を原作に、人間・利休の内面と美意識を鮮やかに映し出します。茶の湯は単なる趣味や儀式ではなく、精神性と政治性が交差する舞台。信長や秀吉に仕え、天下人たちと渡り合った利休の人生には、美を極めた者だからこそ避けられなかった孤高と悲劇があります。本作は、その究極の美学と、時に命をも左右する政治的駆け引きを、映像美と緻密な演出で描き出します。
あらすじ
天下人・豊臣秀吉の側近として権勢を誇った利休は、その美意識と人脈を駆使し、茶道を文化の頂点へと押し上げた。しかし、ある出来事をきっかけに秀吉との関係が悪化し、切腹を命じられる。物語はその最期の日から遡り、彼の青年時代、恋愛、師との出会い、茶の湯を通じて築き上げた人間関係、そして美の真髄を追求する過程が描かれる。政治の道具として茶道が利用される一方で、利休はあくまで自らの美意識を守ろうとし、その姿勢がやがて命を賭けた決断へと導く。
レビュー
市川海老蔵(現・市川團十郎)は、利休の静謐な佇まいと、内面に秘めた激情を見事に演じています。目線や動作一つにまで計算された所作が宿り、茶室での一挙手一投足に緊張感が漂います。中谷美紀演じる利休の妻・宗恩は、夫の美学を理解し支える存在として、物語に深みを与えています。
監督の田中光敏は、美術・衣装・照明の全てにこだわり、茶室のわずかな光や陰影を利用して、侘び寂びの世界を映像として具現化しました。また、信長や秀吉といった権力者たちとの関係も丁寧に描き、美と権力のせめぎ合いというテーマを強調。史実に基づきながらも、人間ドラマとして観客を引き込む語り口が印象的です。茶道に詳しくない観客でも、その美的世界観と人間の生き様に心を打たれるはずです。
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天皇の料理番(1981)
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