監督:原田眞人
主要キャスト:役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一
見どころとテーマ
本作は、太平洋戦争の終結に至るまでの24時間、すなわち1945年8月15日正午の玉音放送までの出来事を、事実をもとに克明に描いた歴史ドラマです。焦点となるのは、終戦を決断した昭和天皇、戦争継続を望む一部の陸軍将校、そしてその間で揺れる政府首脳や軍幹部たちの人間模様。極限状況の中で、国家と国民を守るために何を選択すべきかという、普遍的なテーマを突きつけます。戦争映画でありながら戦場シーンはなく、会議室や廊下、執務室での息詰まる駆け引きによって緊張感を維持し、史実の重みを観客に体感させる作品です。
あらすじ
1945年8月14日未明、日本政府はポツダム宣言受諾を巡り揺れていた。首相・鈴木貫太郎(山﨑努)を中心に、外務大臣・東郷茂徳らは終戦を決断すべきと主張する一方、陸軍内の一部将校は徹底抗戦を望んでいた。昭和天皇(本木雅弘)は国民の命を守るため、苦渋の決断を下す。だが終戦の玉音放送を阻止しようとする「宮城事件」が発生し、玉音盤を巡る攻防が繰り広げられる。戦争の終わりを望む者と、戦い続けようとする者。その狭間で、日本は“最も長い日”を迎えることになる。
レビュー
原田眞人監督は、史実に忠実でありながらも観客を引き込む緻密な脚本とスピード感ある演出で、この歴史的瞬間を生々しく再現しました。役所広司演じる阿南惟幾陸軍大臣は、戦争継続派と終戦派の間に立たされ、葛藤する姿が圧巻。阿南の武士道精神と国家への忠誠心が、戦後史の教科書では語られない人間的な苦悩として描かれています。本木雅弘の昭和天皇像は静かでありながら威厳に満ち、台詞一つ一つに重みが宿ります。
また、玉音放送盤を守るために奔走する人々の姿はサスペンスさながらで、史実でありながら劇的な緊張感を帯びています。戦場の血なまぐさい描写がなくとも、言葉と表情だけで戦争の重圧を感じさせる点は本作の大きな特徴です。観る者に、国家のトップが背負う責任の重さや、時代を変える決断の尊さを突きつける力があります。歴史を知るうえでの資料的価値も高く、同時に人間ドラマとしても高い完成度を誇る一本です。
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坂本龍馬(1974)
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